アメリカ戯曲リーディング企画2日目、トリスタ・ボールドウィン作『DOE 雌鹿』。今回はこの戯曲をメインに1ヶ月半関わってきたので、客観的に舞台を観ることは既に不可能。上演後に友人達の意見を聞き、リーディング上演までの様々なプロセスの延長として本番を観た自分の印象と、本番の舞台だけを観た友人の印象とのあまりのギャップに驚く。それは作家や演出家の意図が演出の力不足で客席に伝わっていなかったということではなく、実際の上演は上演までのプロセスのいかに多くを切り捨てて成り立つしかないかを再確認したということ。今回の経験はアシスタントとして関わった自分にとって重要な、貴重な体験ができてしまったということで、観客のためのプロジェクトとしては不十分だったのではないかということを、終演後のSさんとの会話で考えさせられる。フェスティバルにおいて企画が発展していくプロセスを充実させることと、観客に提示する舞台が観客にとって充実したものとなることとは必ずしも一致しない。とここまでを読むとこの舞台のネガティブな評価が強調されてしまっているが、実際の客席は大入り満員、客席を何列も増やし、大盛況のうちに幕を閉じました。