7月24日-27日: ひきつづき


「Si ce n'est toi」
演出:Francon Bond  場所:Salle Benoit XII  15h〜

登場人物は3人。とある夫婦の住む部屋に正体不明の男が押し入り、居座る中で刻々と変化する微妙な人間関係が淡々と描かれる。照明も衣装も舞台装置も音響もとにかく暗い。灰色と茶色と黒と白だけの1時間。時間がちょうどよかった。


「Paso Doble」
構想:Josef Nadj, Miquel Barcelo  場所:Eglise des Celestins  18h〜

さすがにナジを観ずには帰れないと当日券に並ぶ人々が、毎日数十人帰されるという噂の「Paso Doble」にトライ。楽日だったので半分諦めつつ、一緒に並んだどこぞの国のおばちゃんと劇団乾電池の役者さんと話しているうちにスタッフが現れ、順番待ちの紙に名前を書く。開演直前に戻ると、当日券は7枚、7番目の私の後ろでぱたんとドアが閉められる。ひょえー。
内容は、茶色の泥と白の泥がペタリと折り重なった舞台で、バルセロとナジがひたすら泥で遊ぶ。鍬で泥を耕し、泥の壺を頭からすっぽりとかぶり、手を使って一瞬のうちに様々な仮面に変貌させ、脱いでは壁に叩きつける。世界遺産であるはずの教会の中はもう、泥まみれ。髪の毛真っ白のおじいちゃん二人が、白いワイシャツと黒いスーツを着込んで泥と戯れる様は圧巻でした。この舞台から私が勝手に連想したテーマは「触覚」。触るって凄いんだなあ、と。


「VSPRS」
振付:Alain Platel  場所:Cour du lycee Saint-Joseph   22h〜

アヴィニヨンで観た最後の舞台、これが最後でほんとによかった!!と、Yと大興奮したダンス作品。踊らないダンスも面白いけれど、ほんとに踊ってるダンスの迫力は言葉じゃとても説明できない。いつか来日してくれることを切に願う。



と、他にも何本か観たのだけれど、特に印象深かったのは以上の10本。プログラムの参加者には太陽劇団の役者やエジプトでベケットの作品を演出して賞を獲った演出家もいて、観劇の合間にワークショップなどでいろんな話ができて本当に内容の濃いプログラムだった。あれから一ヶ月も経ってないことが信じられない。楽しかった、で終わることのないよう、次に繋げていくことを肝に銘じつつ、パリに戻った。